「不安しかない…」元美容師のチーフ配属1ヶ月目に密着
チーフアイブロウスペシャリスト
清水さん
目次
アナスタシア ミアレ チーフアイブロウリスト 清水さん(仮名)
「不安でしたよ」——。チーフの打診を受けたときの気持ちを、清水さんはそう振り返ります。つい最近までメンバーとして働いていた店舗で、技術も数字もスタッフも見る立場になる。しかも清水さんは、もともと美容室で働いていた元美容師です。
小学校に上がる前から美容師を志し、高校1年生から美容室の現場に立ち、6〜7年働いた末に転職。眉の専門サロンで一から学び直し、大阪・阪急17番街店から京都店へ。そして6月、チーフに就任しました。
今回の記事では、チーフになって1ヶ月目の清水さんに、不安の正体と、その不安をどう準備に変えていったのかを聞きました。
小学校に上がる前から、「美容師になる」と決めていた
清水さんが美容師を目指し始めたのは、小学校に入学する前でした。年の離れた妹の髪を結ったり、人形の髪の毛で遊んだり。その延長線上に、はっきりとした将来の職業がありました。
小学校上がる前ぐらいから、もう美容師になろうと決めていました。年の離れた妹がいるので、妹の髪を結ったりとか、人形の髪の毛で遊んだりというのが、すごく好きだったんです
中学、高校と、その気持ちは一度もブレませんでした。進学先に選んだのは、美容師の資格が取れる職業訓練型の高校。調理師や介護士など複数の学科がある中の美容コースで、美容室で働くこと自体がカリキュラムに含まれていました。つまり清水さんは、高校1年生から現場に立っています。
高校3年生で国家試験に合格し、卒業と同時に別の美容室へ就職。15〜16歳から22歳まで、およそ6〜7年間、美容室で働き続けました。
手荒れで見えた限界。「他に何も迷うことなく」選んだ眉の道
順風満帆に見える歩みの途中で、清水さんの前に現実的な壁が立ちはだかります。手荒れでした。もともと肌が強くない中で、日々の仕事の負担が積み重なっていきました。
美容師にはなりたいけど、やっぱり体的にちょっと厳しいかもしれない、と。周りから見ていても、そう思われていました
ただ、次の道を探すのに時間はかかりませんでした。実は高校3年生で就職先を決めるとき、清水さんはすでにアナスタシア ミアレを見ていたのです。当時はまだ眉専門サロンがほとんどなく、「そんな選択肢があるんだ」という驚きが、記憶に残っていました。
高校卒業の時点では、眉毛サロンの数が現在ほど多くありませんでした。その中で、眉毛サロンっていう選択肢があるんだ!という衝撃が高校3年生の時に走りました。そうして、再びアナスタシア ミアレの求人を見た際に「今度こそ挑戦したい」と思いました。
「たかが眉毛」ではくくれない。研修で受けた圧倒

もともと清水さんは、周囲から「眉毛、すごく綺麗だね」と褒められることが多く、眉に良い印象を持っていました。それでも、入社後の研修で受けた衝撃は、その予想を大きく超えるものだったといいます。
言葉を選ばずに言うと、たかが眉毛じゃないですか。でも、その言葉では括れないぐらい、似合う眉毛に対しての理論だったり、それをどう自分の中で理解してお客様に伝えるかというところの奥深さがすごくて。感動というより、その奥深さに圧倒された感覚に近かったです。
そしてこの「圧倒」が、そのまま「極めたい」に変わります。 美容師として描いていたキャリアとは違う再スタートでしたが、清水さんにとっては、迷いのない再スタートでした。
配属は大阪・阪急17番街店。会話は楽しい、でも提案が不安
研修を終えて最初に配属されたのは、大阪・阪急17番街店。繁華街の店舗です。美容室で長く接客をしてきた清水さんにとって、お客様と関わること自体に不安はありませんでした。
お客様とお話ししたり関わることに関しては、今まで通り楽しかったです。ただ、いざ入客するとなると、自分の提案が果たして合っていたのかな、という不安が最初はありました
清水さんはもともと、お客様の要望を100%叶えたいと考えるタイプでした。けれど眉は、希望どおりの形が、その方の骨格や筋肉に合うとは限りません。
ご要望として言ってくださることを、100%この通りにできますとは言えないところもあります。そこで自分から提案するというのが、最初は本当に難しかったです
必要だったのは、「できません」で終わらせずに、骨格や筋肉を踏まえて「こういう形が一番なんじゃないか」と提案する力でした。その場での対応力は、経験を積み、パターンを頭に入れていくしかありません。技術面だけでなく、お客様の言葉の奥にある要望や悩みをくみ取り、骨格や筋肉に合わせてわかりやすく伝える接客・提案の力まで、先輩やチーフに助けられながら、清水さんは少しずつ引き出しを増やしていきました。
個人戦から、店舗として選ばれる仕事へ

美容室との違いを尋ねると、清水さんはまず働き方の話をしました。
美容室だと、自分の技術力を上げるために、休日にセミナーへ参加することも珍しくない業界です。レッスンのために営業後に残っているのも当たり前でした。アナスタシア ミアレは休日がしっかり休日としてあるので、すごく変わったし、ありがたいなと思います
もう一つは、仕事の構造そのものです。美容室は一人の美容師にお客様が指名でつく、個人戦に近い仕事だと思います。一方でアナスタシア ミアレは、指名制ではなく、店舗として、ブランドとして選ばれる仕事です。
美容室は個人戦だからこそ、自分がどう立ち回ったらいいかを常に考えていかないといけませんでした。アナスタシア ミアレは、誰が誰に入るかは予約状況でしかわからない。だから、みんなそれぞれの解釈が違わないように伝える方法とか、物事の考え方が結構ガラッと変わった気がします
阪急17番街店で約半年働いた後、清水さんは京都店へ異動します。店舗の売上や人員体制を踏まえた異動で、もともと京都在住の清水さんにとっては、家からとても近い店舗でもありました。「店舗を移ってもやることは変わらない」と、異動への抵抗は全くなかったといいます。
突然のチーフ打診。「無理ですとは言うつもりはなかったけど」
京都店で1年ほど働き、清水さんはチーフの打診を受けます。つい最近までメンバーだった人が、店舗の責任者になる。そのときの気持ちは、率直なものでした。
不安でしたよ。もちろん無理ですと言うつもりはなかったんですけど、技術や接客、売上面でも店舗で一番の責任者にならないといけない。その重圧を、やっぱり過大に考えてしまうので
ただし、翌日からチーフになったわけではありません。打診は就任の2〜3ヶ月前。その期間で引き継ぎを受け、自分自身の技術も見直すことができました。
2、3ヶ月の間、引き継ぎだったり準備期間がしっかりあったので、徐々にチーフということの自覚もできました。明日からチーフでという感じではなかったので、今思えばすごくありがたかったなと思います
もう一つ、清水さんを支えたのが前任チーフのやり方でした。京都店の前任チーフは、誰が次のチーフになっても困らないように、業務をあらかじめスタッフへ分担していたのです。
チーフが絶対やらないといけない業務が多いわけではなくて、分担してやっていたので、そこはよかったなと思う部分ですし、それは自分も引き継ごうと思っています
それでも、わからないことをそのままにはしませんでした。
割と私が、ちょっとでもわからなかったら聞かないと気が済まないタイプなので。自分の考えたことが合っているのかも聞いて、相談して、答えをもらって理解して、初めてお客様に下ろす。前任のチーフの最終日まで、ずっと張り付いて聞いていました
不安を気合で消すのではなく、質問の量に変える。清水さんは、そうやって就任の日を迎えました。
配属からの1ヶ月。いちばん難しいのは「伝え方」

チーフの主な業務は、売上目標の達成に向けて、店舗として何に取り組むべきか、スタッフ一人ひとりがどのように行動すればよいのかを具体的に伝え、実行につなげていくことです。清水さんが今いちばん頭を使っているのも、業務内容そのものより、相手に合わせた伝え方でした。
頭の中で思っている言葉をそのまま伝えてしまうと、結構きつかったりするので。本人に伝えるまでに一回言葉を選んで、一回で伝わりやすいようにと考えています。今までは言ったら下っ端の立場だったので、上に立つことがあまりなくて。毎回、あの言い方でよかったかなと考えてしまいますね
私自身、関西弁が結構きついタイプなので。淡々と怒るのは得意じゃないんです。だから普段はもう少し親しみやすく喋るのは常に心がけていますし、言わないといけないことだけじゃなくて、他のスタッフの結果が出ていたら褒めることも大事だなと思っています
その基準になっているのは、自分がスタッフだった頃の実感です。
今までメンバーの経験が長かったからこそ、メンバーが嫌だなと思うところは、多分ほかの誰よりもわかると思っています。自分がこうやってやられたら嫌だなと思うことは、絶対にしないと決めています
ゼロか100かで見ない。段階的に認めて、段階的に伝える
清水さんが目指しているのは、仕事を自分で抱えるチーフではありません。
チーフが全部やってしまうと、後輩からしたら信頼されていないのかなと、思うかもしれない。だから、任せられる仕事は後輩に任せて、取り組んでくれたことに対してはまず「ありがとう」と伝えるようにしています。
それが完璧にできていなくても「ここまでやってくれたんだね、ありがとう」だし、プラスでできていないところを「これはこうしたらいいんだよ」と言う。
一つのことに対しても、ゼロか100かで決めつけるのではなく、段階的に認めて、段階的に伝えるようにしています。それが、私の中で大切にしていることです。
結果だけでなく、そこまでのプロセスを認めてから改善点を伝える。そうした上司が良いと、スタッフだった頃の自分が思っていたからこそのやり方です。チーフ歴はまだ浅く、「何とも言えない」と本人も言いますが、日々のやり取りを振り返りながら、自分なりの関わり方を組み立てている段階です。
そのやりがいを感じるのは、スタッフから頼られたときだといいます。
他のスタッフが悩んだときに、今までは前任のチーフに言っていたことを、私に「これってどうしたらいいですか」と、ちょっとでも相談してきてくれる。そうやって頼ってくれるとすごく嬉しいですし、それがあるたびに、チーフになったんだなと実感します
『今日を楽しみに頑張ってきました』
最近いちばん印象に残っている出来事として、清水さんはあるお客様の言葉を挙げました。
1ヶ月に1回来てくださるお客様が、今日を楽しみに頑張ってきました、と言ってくださったんです
アナスタシア ミアレでは、必ずしも毎回同じスタッフが担当するわけではありません。だからこそ清水さんは、誰が担当しても安心して任せていただける技術と接客があることを大切にしています。
どのスタッフが担当しても絶対きれいにしてくれる、というのが前提ではあるんですけど、そのうえで久しぶりと言ってもらえると、すごく仕事している生きがいになるなと。お客様にとって、月に一度の来店が楽しみになる。そして私にとっても、お客様との何気ない会話や再会が、日々の仕事のやりがいになるんです。
そして清水さんが京都店で目指しているのは、その空気をつくることです。
今以上に京都店を盛り上げられるような、スタッフみんながちょっとでも仕事を楽しいと思ってもらえる店にできたら、何よりですね。店員さんが楽しそうじゃなかったら、お客様も楽しくないと思うんですよ。だから他のスタッフがしんどそうな時は、すぐ気づいてフォローしたいなと思っています
不安があっても、一人で背負わなくていい

清水さんの1年半は、不安がなかった1年半ではありません。手荒れで美容師を続けられなくなり、眉の仕事では自分の提案に自信が持てず、チーフの打診には重圧を感じました。それでも進み続けられたのは、都度、学ぶ時間と聞ける相手があったからです。
技術に対しての研修が、アナスタシア ミアレは1ヶ月みっちりあります。他だと1、2回やってテストして、体で覚えるというところも多いと思うんですけど、ちゃんと研修があるのは、すごく自分の安心材料になると思うんですよ。店舗に行ってもそこがゴールではなくて、必ずつく先輩がいて、一定の期間は付きっきりで施術をしながらアドバイスをくれます
技術への不安や、新しい環境に飛び込む怖さがあっても、最初から一人で全部できる必要はありません。研修で基礎を学び、先輩に相談しながら経験を積み、やがて店舗を支える役割へ進んでいく。清水さんが1ヶ月目のチーフとして立っている場所は、その道の先にあります。
もしあなたが、自分の技術でお客様を笑顔にしたい。将来はチームを支える立場にも挑戦したいと考えているなら——キャリアの選択肢として、ぜひアナスタシア ミアレのアイブロウスペシャリストという仕事を知ってみてください。