
「好き」と「続けること」の両立 ― 元美容師が「眉のプロ」を選んだ理由
チーフアイブロウリスト
佐藤さん
目次
アナスタシア ミアレ チーフアイブロウリスト 佐藤 美咲さん(仮名)
「美容は好き。でも夜遅くまで働き、収入も休みも読めない——そんな日々をずっと続けられるのか?」。ヘアメイク担当として美容の最前線で活躍していた佐藤 美咲さんは、2011年の東日本大震災を機に自問しました。彼女が次に選んだのは“眉毛専門サロン”という、当時ではまだまだニッチな選択肢。
この記事では、「好き」を諦めずに「続けやすさ」を両立した元美容師が、なぜ眉のプロへ転身し、どのようにキャリアとライフスタイルをアップデートしたのかを深掘りします。産休・育休後もチーフとしての復帰を果たしたリアルなストーリーは、キャリア選択に悩む美容師やヘアメイク経験者にとって新しいキャリアの羅針盤になるはずです。
美容師から「眉の世界」へ──キャリアチェンジを決めた瞬間
小学生のころ、テレビでネイルアーティストを見て以来 “パーツ美容” に心を奪われた佐藤さん。高校進学時にはヘアメイクを志し、美容専門学校へ一直線。「メイクを武器に人を輝かせたい」という思いは、都内有名サロンに就職してからも色褪せませんでした。週1回のメイクレッスン、雑誌やMVの撮影現場……と美容の第一線で多くの経験をします。しかし華やかさの裏には、毎日違う現場での移動と長い拘束時間がありました。
2011 年の東日本大震災で案件が激減したとき、”働き方そのもの” に疑問が生まれました。「このまま安定して仕事ができるのか」「体力がある20 代は乗り切れても、このペースで一生やっていけるのか」。そんな時に偶然目にしたのが、モデルのスタイルブックに載っていた〈アナスタシア ミアレ〉の文字――“眉”という苦手分野を理論で極めるサロンが日本にある。磨き続けてきたメイク技術と、自分の弱点克服を同時にかなえる場所だと直感し、ほかの選択肢を見ることもなく応募を決めたと言います。
ヘアメイクの現場は好きでしたが、“好き”だけでは乗り切れない長時間労働と不安定さがありました。苦手だった眉を理論で極めつつ、安定した環境で長く働きたいと強く思ったんです。
アナスタシア ミアレの「文化」と「働きやすさ」に驚く毎日
ワークスタイル比較
比較項目 | 美容室勤務時代 | アナスタシア ミアレ |
---|---|---|
お給料 | 指名・売上ノルマあり/収入が月ごとに変動 | 指名制度なし/固定給+賞与で安定 |
スキルアップ | 自主練は営業時間外が多い | 練習・ロープレは勤務時間内に組み込み |
休日 | 残業・終電帰りが日常/休日は撮影同行もある | 2 か月前にシフト確定/ほぼ定時退社 |
その他 | 服装・道具は自己負担 | 制服・専用ツール支給/社員割引制度あり |
数値化しやすい「残業ゼロ」も衝撃でしたが、佐藤さんが最も感動したのはスタッフ同士の関係性。個人売上を競わず “店舗目標” を追いかけるため、技術共有やヘルプが自然と行き交います。「指名制だと同期をライバル視しがちですが、ここでは後輩の練習モデルを先輩が喜んで引き受け、苦手を克服する方法を一緒に考えるんです」。
就業環境のホワイトさはプライベートにも直結。遅番の日は午前中にヨガ……「毎日決まったルーティーンがあることの安心感。また、2ヶ月先までシフトを決められるのでプライベートの予定も立てやすい」
残業少ない、指名ノルマなしでスタッフ全員が技術を共有し合う。最初は『本当にそんなサロンがあるの?』と半信半疑でしたが、入社してすぐに自分の軸であった『人を綺麗にすること』と『続けること』が両立できると確信しました。
アナスタシア ミアレ独自の理論がもたらすプロとしての誇り

アナスタシア ミアレでは、骨格・筋肉・フェイスバランスを見極め、自眉を最大限にいかし、「あなただけの眉」を提案します。
流行りの“平行眉”や“アーチ眉”をそのまま描くのは簡単ですが、それでは本当の似合わせにはなりません。お客さまご自身の骨格・筋肉・フェイスバランスを理論をもとに分析し、なぜこの幅・角度・太さがベストなのかを説明できるからこそ納得できる仕上がりになるんです。
アナスタシア ミアレの理論はただ座学を受けただけで習得できるものではありません。お客様それぞれ、左右でも眉の角度や筋肉、フェイスバランスなどは全く異なります。
そのため、入社前の研修はもちろん、現場のロープレを繰り返し、長く眉と向き合う必要があります。それでも「眉1ミリで顔が変わる瞬間」を毎日目の当たりにできる喜びは格別。「眉は小さな動きで大きなインパクトを与えられる仕事です」。
チーフ → エリアマネージャーを経て“現場主義”へ回帰
入社 3 年で池袋東武店のチーフに就任、その後 7 店舗を束ねるエリアマネージャーに抜擢――当時 20 代半ばでのスピード昇進は、本人いわく「ブランドが情熱を汲み取り、惜しまずチャンスをくれる証明」。
しかし数字と向き合い、お客様と向き合う時間が減ったことで葛藤が芽生えます。「やはり、目の前の人を綺麗にしたいという原体験がベースにあって、もっとお客様の笑顔を身近に感じたい」。上司との面談で率直に思いを伝え、再びチーフ職へ。現場社員それぞれと誠実に向き合い、最適なキャリアを一緒に考える柔軟さこそ、同社ならではです。
売上グラフも大事ですが、私はお客さまに直接『ありがとう』と言ってもらえる瞬間が一番のエネルギー源。だから現場に戻る決断に迷いはなかったですね。
マネジメント経験で培った視座とスキルを活かしながら店舗を牽引し、「現場が好き」という原点も取り戻しました。
ママでも安心――子育てと両立できる職場文化
産休・育休を経て復帰したのは 1 歳児の子育て真っ只中。「保育園からの“お迎えコール”が鳴った途端に予約をどうするか――そんな不安を会社が先回りして解消してくれました」。
- 予約枠の時間調整
- 近隣店舗からのヘルプ
復帰タイミングが同じチーフとタッグを組ませる配慮も心強かったそう。「子どもが熱を出したら“お互い様”で休める。チームワーク重視の文化がママに優しい職場を自然に作っています」。
子どもの急な発熱で欠勤しても『お互い様』と支えてくれる文化があります。ママだからと遠慮せず、安心してプロを続けられるのが嬉しいです。
読者へのメッセージ

アイブロウリストとして働くこと、アナスタシア ミアレで働くというのは結構イメージしずらいところがあるかもしれません。一度、お客様として来店して、まずは『選択肢』を増やしてみるというのはアリだと思います。
以前は当たり前だった終電帰り、定時後の自主練、続けやすさへの不安――それらを手放しても“美容で人を幸せにする喜び”は失われない。むしろ理論とホスピタリティを合わせ持つアナスタシア ミアレのアイブロウリストは、将来ライフステージが変わっても続けやすい仕事だと佐藤さんは断言します。