「あなただけの眉」を提案する。事業部長が語るブランド哲学
事業部長
坂下さん
目次
“一人ひとりの骨格には、その人だけの美しさが宿っている”。
アナスタシア ミアレは、創業当初から一貫してこの考え方に向き合ってきました。
流行に合わせるのではなく、その人本来のバランスを読み解き、“あなたらしい眉”を導き出す——。
今回のインタビューでは、その哲学を日本で根づかせ、技術や研修、製品づくり、働く環境にまで落とし込んできた事業部長が、ブランドが守り続けてきた価値と、これからの進化を語ります。
アナスタシア ミアレは、眉を整えるだけの場所ではなく、その人の「素の美しさ」を呼び覚ますためのブランドです。その核となる考え方に触れることは、「自分はどんな価値観のもとで、美容の仕事をしていきたいのか」 を見つめ直すきっかけにもなるはず。
“技術を磨きたい” “長く続けたい” “お客様の人生に寄り添いたい” 。そんな想いを持つあなたは、ここで描けるキャリアの輪郭がより明確に見えてくるでしょう。
「第二の人生」で出会った、“ニッチな悩み”を救う仕事

実は、アナスタシア ミアレに来る前に、一度 “働くこと” を諦めかけた時期があるんです。
そう切り出した坂下さんは、別業界と美容業界でキャリアを積んでいました。しかし若い頃から大きな病気を抱え、命に関わる状態となり、やむなく退職。そこから約3年間、仕事どころか日常生活を送ることさえ難しい時期が続いたといいます。
少しずつ社会復帰できるようになった頃、前職の上司から届いた一本の電話が、彼女の「第二の人生」を動かしました。
『ピアスで人を探しているんだけど、興味ない?』って。実はその時、海外でまったく別の仕事に挑戦する話もあったんです。でも、私を気にかけてくれた上司や、紹介してくれた人の顔を思うと、一度は話だけでも聞かなきゃいけないな、と。
その “話だけ” のつもりで訪ねた面接の場が、のちにアナスタシア ミアレを生み出す会社・ピアスグループとの出会いでした。
年俸だけ見れば、別の道のほうが正直、ずっと良かったんです。でも、『自分たちの資本だけで、ニッチだけれど深い悩みを解決するブランドを育てていきたい』という経営者の考え方に、ものすごく心を動かされました。
お金ではなく、「誰のどんな悩みを解決するのか」という軸で選んだ挑戦。ここから、眉専門サロン「アナスタシア ミアレ」の物語が始まります。
原点は「白斑」の悩みを支えたブランドから
ピアスグループは、もともと「白斑(はくはん)」と呼ばれる、肌の色がまだらに抜けてしまう症状に悩む人のための化粧品ブランドからスタートしました。
白斑は、当時も今も簡単に治るわけではない病気です。顔や体の色が白く抜けてしまうことで、人前に出るのさえ怖くなってしまう方もいる。その人たちがまた、自信を持って外に出られるようにする──その発想から始まったのが、ピアスです。
単に「きれいに見せる」のではなく、美容と健康の仕事を通じて、できる限り多くの人々のよりよい幸せに、永続的に寄与していく。という考えのもと、「切実な悩みに寄り添い、消費者ベネフィットを満足させる」これが、アナスタシアミアレの基本の考え方であり、ピアスから受け継いだ考え方です。
海外の小さなサロンから届いた「眉」の種

きっかけは、海外のとある街で始まっていた “眉毛サロン” という新しい業態。オーナーは、異国の地に渡り、言葉も十分に通じない環境のなかでエステティシャンとして働きながら、「眉を整える」という技術にたどり着いた女性でした。
当時その国では、歯やネイルにはお金をかけても、眉はほとんど手つかずという人が多かったそうです。そこで試しに眉を整えてあげたところ、想像以上に喜ばれ、「これで仕事になるのでは」と小さなサロンを構えたのが始まりでした。
やがてそのサロンは、感度の高いお客様のあいだで話題になり、「眉を整える」という概念が少しずつ広がっていきます。
ピアスはその動きにいち早く注目し、「眉」というニッチな悩みにフォーカスしたビジネスを日本で展開していくことを決断しました。
当時の日本には “眉専門サロン” という概念自体がありませんでした。しかしながら、消費者調査を実施すると女性の9割近くもの人が眉に関して何かしらの悩みを抱えている状況でした。
この悩みを解決したい。という考えのもと新たなビジネスモデルを作り上げたのです。
こうして2004年、日本で最初の店舗が新宿にオープン。これが、アナスタシア ミアレの出発点でした。
「あなただけの眉」へ
ブランド立ち上げ当初、消費者の方々は、「芸能人の●●さんのようになりたい」といった自分自身ではなく、誰かの模倣といったリクエストが多かったんです。しかし、日々カウンセリングを重ねる中で、お客様の声は、坂下さん自身の違和感と重なっていきます。
結局、本当のところは「誰かの真似をしたような眉ではなく、自分に合った眉が知りたいのではないか、、、」と。
そこで彼女は、お客様一人ひとりに本当に似合う眉を導き出すためのオリジナルの理論を、ゼロからつくり上げる道を選びました。
骨・筋肉・フェイスバランス。理論を “言語化” するまでの苦労

新しい理論づくりには、時間も労力もかかりました。
何百万人もの顔を、いくつかのパターンに当てはめることは絶対にできない。1億2,000万通りの顔には、1億2,000万通りの眉が必要なんです。だからこそ、流行や好みではなく、“変わらないもの” を基準にしないといけないと思いました。
その「変わらないもの」として選んだのが、人間の骨格・筋肉・皮膚といった生物学的な構造です。
大学の教授のもとを訪ね、骨の構造や医学的な資料にあたり、医学書や専門書を読み込みながら、眉と骨格の関係を一つひとつ検証していく。
今思えば、あの期間は人生でもっとも集中した時間かもしれません。骨がどう並び、筋肉がどう走り、その上に眉がどう生えているのか。お客様の顔を見ると、骸骨まで透けて見えるような感覚になるまで、ひたすら向き合いました。
こうして生まれたのが、アナスタシア ミアレ独自の理論。
自眉を最大限に活かし、一人ひとり異なる骨格・筋肉・フェイスバランスを見極め、その人の魅力がもっとも際立つ眉を導き出すための “言語化されたメソッド” です。
現場に広げるのは、「やり方」ではなく「腹落ちする理由」

理論ができても、それを現場に浸透させなければ意味がありません。
“やり方” だけを押し付けるのではなく、『なぜその眉が似合うのか』という根本から説明することを徹底しました。
研修では、まず骨格や筋肉の話を噛み砕いて伝え、「人間はこういう骨の構造、眉はこう生えてくる。だから、この人にはこの形が自然なんだ」と、ロジックとお客様の反応をセットで共有していきました。
技術者はみんな、“なんとなく違和感がある眉” を見抜ける感覚を持っています。その感覚に、骨格や筋肉という裏付けを与えてあげることで、『やっぱりそうだったんだ』と腹落ちしてくれる。そこを大事にしたかったんです。
また、影響力のあるスタッフから順番に理論を伝え、賛同を得ながら広げていくことで、現場への浸透は一気に加速していきました。
第3ステージの戦い方
2004年の日本上陸以来、眉専門サロンという市場は長らくアナスタシア ミアレの独壇場でした。
新宿の1号店を皮切りに、大阪・福岡・名古屋・渋谷、海外と店舗を拡大し、オープン当初は予約をとるために行列になるほど。日本ではまだ珍しかった「眉毛のサロン」に、多くのアーリーアダプターが殺到しました。
しかし2019年頃、パンデミックの影響も相まって、状況は一変します。
様々な美容サロンが眉メニューを導入し、一気に眉市場が拡大していきました。
今は、事業の“第3ステージ” に入ったと感じています。競合が増えたからこそ、『私たちは何を売っている会社なのか』を改めて問い直す必要がある。単に眉を整えるサービスではなく、お客様の“内なる自信” を取り戻す体験そのものを提供している──その原点に立ち返る時期だと思っています。
だからこそ、アナスタシア ミアレは「眉だけのブランド」に留まるつもりはないと、坂下さんは言います。
サロン品質を、毎日のメイクにも。製品開発の舞台裏

アナスタシア ミアレには、サロンでの施術だけでなく、自宅でのメイクを支えるプロフェッショナルプロダクトも多数あります。
お店に来た時だけ眉が綺麗、という状態は、お客様にとってはむしろ不親切だと思うんです。だからこそ、サロンで仕上げた眉にできるだけ近づけられるアイテムを、お家の中でも再現できるようにする。
社内には、グループ全体で培ってきた研究技術が蓄積されています。坂下さんは、その研究員たちとチームを組み、マーケティング戦略からコンセプト、価格、使用感まで、1つひとつの製品にストーリーを与えていきました。
製品開発のパフォーマンステストは当然、“虐待テスト” と呼ばれる耐久性テストも行います。あえて過酷な条件を与えて、どこまで耐えられるかを試すんです。そうやって、現場のATS(アテンダントスタッフ)が自信を持ってお客様にお薦めできるクオリティまで磨き込んでから、はじめて店頭に並びます。
スタッフには、製品の「特徴」だけでなく、「どんな背景と想いで生まれたのか」というストーリーまで伝えるのが、坂下さんのこだわりです。
ブランドを支えるのは、数字ではなく「語り継がれるストーリー」

インタビューの終盤、「ブランドのDNAはどうやって受け継がれているのか」と尋ねると、坂下さんは少し照れくさそうに笑いながら、こう答えました。
私がどうこう言うより、現場のスタッフがどう感じているかのほうが大事だと思うんです。私はただ、自分が信じているゴールに向かって、“なぜそれをやるのか” を何度も伝えているだけなので。
ブランドビジョンMTGなどの場では、メニューや製品ごとに「なぜこの技術が生まれたのか」「どんなお客様の悩みを解決したいのか」という背景を、ストーリーとして共有していきます。
そのストーリーを受け取ったスタッフが、今度は自分の言葉で後輩やお客様へ語り継いでいく。
その積み重ねが、「眉こそが、美しさの根幹」というブランドの言葉を、単なるコピーではなく “生きた信念” として根付かせているのです。
あなたの技術が、誰かの “内なる自信” を生み出す

アナスタシア ミアレが大切にしているのは、眉という小さなパーツを通じて、お客様の “素の美しさ” を引き出すこと。
アナスタシア ミアレの理論にもとづく技術、無理なく働ける環境、そしてスタッフ同士が同じ方向を見て歩むカルチャーが、20年以上積み重ねてきたブランドの土台になっています。
提供しているのは「眉の形」ではなく、
――鏡を見るのが少し楽しみになるような “内側の変化” です。
その価値を日々つくっているのは、一人ひとりのATSの技術と姿勢にほかなりません。
研修で学んだ理論を自分の言葉で伝え、お客様の人生にそっと寄り添う。
製品の背景まで理解し、チームで支え合いながら質にこだわる。
そうした積み重ねが、年間20万件以上の施術と、高い評価につながっています。
もしあなたが、
・目の前のお客様の “変化” を、自分のやりがいとして受け止めたい
・技術と考え方の両面から成長したい
・長く安心して働ける環境で、美容のキャリアを築きたい
そう願うなら、アナスタシア ミアレはきっとあなたの力を発揮できる場所です。
眉のプロとしてのキャリアは、今ここから始められます。
新しい一歩を、アナスタシア ミアレで踏み出してみませんか。